luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

何れにせよ、相手を蔑む態度は何も現状を解決しない。

たまに見かける非常に尊厳ぶった態度の管理職。そして、その周囲の奇妙な低調感。
陳腐な、良く見かけるイメージではあるが、陥るとなかなか抜け出せない。そして、それはそのまま、その環境を没落させ、そこを崩壊させる。結果、その環境自身はなくなり、問題自身は消失するが、教訓を生かせずに新たな場所でそれは始まり、繰り返される。
管理職自身が、新たな場所に移っても、自己の責任を認めずに態度を変化させないならば、そうなるだろう。


この光景は、一般に何となく起きると思われている節があるが、周囲に十分な能力がある環境でも普通に起こりうる話だ。これは心理学的な、人の行動機構で説明ができるので、今日はそんな環境を作り上げないように、その機構を説明しておく。
まず、管理職が基本的に表立って批判されにくい環境下で発生する*1
まず、きっかけとして、権威が生じている管理職の、周囲への「自己の都合の良い見方による、恣意的な批判が行われ始める。
この際に、起きる心理現象としては、「帰属の誤り」があります。


http://www8.plala.or.jp/psychology/topic/kizoku.htm より。

他者の言動の理由を推測する場合に、それが明らかに外的な影響を受けての言動であるにも関わらず、 行為者の性格や態度などの内的なものに帰属させやすいという一般的傾向のこと

http://www8.plala.or.jp/psychology/topic/kizoku.htm

上司が環境下における不可避な原因や、回避が難しい原因を理解せずに、相手のせいにし始めると、周囲の人々に激しい精神的葛藤が起こります。また、本来は仕事場の環境や、仕事の指示の出し方など、何らかの改善しなければならない原因があるにも関わらず、それを改善しないで批判を行う訳ですから、現状は改善されません。原因が解消されないのであるから、それは、当たり前のことですね。
これには、「自己成就予言効果」を重ねることが出来るかも知れません。 自分の思ったことを環境に求める行動を行った結果、環境がそのようになる効果です。本来の解決のための原因を放っておく、という事が、自己の批判通りの環境を維持する、という予言効果として表れている訳ですね。
なお、批判的な人の配下の成績が下がるという心理効果もあります。ゴーレム効果*2と呼ばれます。
かくして、その環境は低調となり、ついには崩壊する訳です。


ここで教訓とすべきなのは、例え管理職であろうとも無批判に、相手の批判を言いっぱなしにさせることなく、問題の原因を探す試みを止めない事。また、問題の原因を探す際にも、原因を誰かに、つまり人属性にしてしまわない事です。その人が置かれた状況を無視しての問題解決などはあり得ません。
なお、本当に人に問題があったとしても、それを改めるのが容易であったり、何らかの手当てで改善できるのであれば、それをする事です。
ここで気を付けなければならないのは、そこで間違っても対象を卑下したりする事が無いように、です。そうした場合、人は助力も正しく受け取ってくれませんし、努力しようとする素朴な意志を、卑下する言葉は失わせます*3
何よりも、人は役立つことで、心理的満足を得る存在です。十分な称賛を与えれば、それら努力は最初は叶わなくとも、次第に実を結んでいくでしょう。それを順に評価していけば、いつしか、その場は大きな価値を生むようになるでしょう。

*1:ここで、そういう環境が一般的であると考えている人は、そこで自分が置かれている環境が引き起こす罠に囚われている可能性がある。世の中には、管理職が絶対の権威ではなく、ちゃんと批判が俎上にあがる環境もある。そこでは、できるだけ職場が働きやすい環境にしようと、全社員の意見がヒアリングされていたりもする。

*2:参考 ゴーレム効果とは何? Weblio辞書

*3:相手を問い詰める癖がある人は特に注意。そういう言葉遣いは、相手の欠点だけに注目し、本来の問題以外の、相手の欠点ばかりに言及する状況を生みます。本来の問題が違っていた場合にも、問い詰める姿勢ならば、言及するのは相手の欠点ばかり、という状況もあり得ます。