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一般の方が、いわゆる紛争に介入する事の法的リスクについて。

最近、twitter 上でも少々話題になった。
今日の記事は、一般社会でも、ブログのコメント欄でも時々話題となるが、いわゆる弁護士法 72条違反行為「非弁護士の法律活動の禁止規定」についてです。
なお、弁護士法 72条、とは下記の内容です。*1

弁護士法
(昭和二十四年六月十日法律第二百五号)

(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条  弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。

http://hourei.hounavi.jp/hourei/S24/S24HO205.php

関連の最高裁判例は下記に。*2

事件番号 - 平成21(あ)1946
事件名 - 弁護士法違反被告事件
裁判年月日 - 平成22年07月20日
法廷名 - 最高裁判所第一小法廷
裁判種別 - 決定
結果 - 棄却
判例集等巻・号・頁 - 刑集 第64巻5号793頁
原審裁判所名 - 東京高等裁判所
原審事件番号 - 平成21(う)357
原審裁判年月日 - 平成21年10月21日
判示事項
 弁護士資格等がない者らが,ビルの所有者から委託を受けて,そのビルの賃借人らと交渉して賃貸借契約を合意解除した上で各室を明け渡させるなどの業務を行った行為について,弁護士法72条違反の罪が成立するとされた事例
裁判要旨
 弁護士資格等がない者らが,ビルの所有者から委託を受けて,そのビルの賃借人らと交渉して賃貸借契約を合意解除した上で各室を明け渡させるなどの業務を行った行為については,その業務が,立ち退き合意の成否等をめぐって交渉において解決しなければならない法的紛議が生ずることがほぼ不可避である案件に係るものであって,弁護士法72条にいう「その他一般の法律事件」に関するものというべきであり,その際,賃借人らに不安や不快感を与えるような振る舞いをしていたなどの本件における具体的事情(判文参照)の下では,同条違反の罪が成立する。
参照法条 - 弁護士法72条,弁護士法77条
全文 - 全文

http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=80472&hanreiKbn=02


大体、上記の内容を読んでいただければほぼ理解できるかと思うが、基本的に「紛争事例への法律的な介入は、弁護士資格を有する必要性がある」と解するのが妥当でしょう。
故に、紛争に関して、利害関係者、つまりは親族やかなり親しい友人等でもないのに何故か登場する人物が居れば、この法律に違反する内容を疑って良いと思います。近親者であっても、当事者でない人間が色々言ってきている場合も、それなりに行為の妥当性*3を確認した方が良いとおもいます。
なお、実際の士族間の業務範囲の論争は存在し、この条文の解釈に関しては異論もありますが、いわゆる一般の人に関しては、そこら辺は無関係なので、気にしなくても良い*4です。
反社会的組織や、自信過剰な普通の人が口を挟んでくる場合も発生することがあり、結構嫌な感じの状況になる可能性もありますが、その場合には、日弁連などの法務団体*5の窓口に相談されるのが良いと思います。


ちなみに、各士族は業務を開始するにあたり、各所属会への登録を行う必要があり、資格者を名乗る方が居て、どうも胡散臭い感じがする、というような場合には、所属会への問い合わせをすれば該当の登録者がいるかは確認とれますし、本人に成りすましていると思われるような場合には、事務所の連絡先も教えてくれますので、事務所に確認を取ってみるのが良いでしょう。
例えば、弁護士だと下記の内容になります。*6

3 弁護士名簿の登録

弁護士となる資格を有していても、弁護士名簿に登録しなければ、弁護士として活動することはできません(弁護士法第8条)。

弁護士名簿に登録するには、入会しようとする地域の弁護士会を経て、日弁連に登録請求することになります。

各地の弁護士会及び日弁連は、登録請求者が、次のいずれかに該当する場合には、資格審査会の議決に基づき、登録を拒絶することができます(弁護士法第12条及び15条)。(1)弁護士会の秩序又は信用を害するおそれがある者、(2)心身に故障があって、弁護士の職務を行わせることがその適正を欠くおそれがある者、(3)懲戒処分によって、弁護士・外国法事務弁護士であって除名され、弁理士・税理士であって業務を禁止され、公認会計士であって登録を抹消され、又は公務員であって免職された者が、その処分を受けた日から3年を経過して請求した場合に、弁護士の職務を行わせることがなおその適正を欠くおそれがある者、(4)登録請求前1年以内に当該弁護士会の地域内において常時勤務を要する公務員であった者で、その地域内において弁護士の職務を行わせることが特にその適正を欠くおそれがある者

http://www.nichibenren.or.jp/jfba_info/autonomy/registration.html

慌てているときには、身近に不審な人が居ても冷静な対応をとれない場合がありますが、そういう時には各法務業の団体が企画する相談窓口等に相談し、さらなる窮地に陥らないように気をつけてください。

関連参考情報
グループ企業間の法律事務の取扱いと弁護士法第72条の関係について 法務省(PDF)

*1:出典元:dfltweb1.onamae.com – このドメインはお名前.comで取得されています。

*2:出典元:裁判所 | 裁判例情報:検索結果詳細画面

*3:報酬と思われる利得の内容とか、その場に同席する頻度とか。

*4:互いの専門性が高い業務に関しては、基本的にはその士族に依頼するのが妥当であろう、という話になるのが通例ですし...。

*5:特に反社会組織に対する適切な対応については、司法書士連合会や、他団体でもキャンペーンを張っている事が多いですので。

*6:出典元:日本弁護士連合会:弁護士の資格・登録