今日は社会心理学についての基礎資料を、まとめています。
『地震と津波:人々は,どのような場合に被災者を責めるようになる? - 東日本大震災を乗り越えるために:社会心理学からの提言と情報』より引用*1。
「公正世界信念(the belief in a just world)」と呼ばれる社会心理学の理論です。この理論の基本的な考え方は,「世界は公正にできており,努力した者は報われ,努力しない者は報われない」ということです。つまり,「良いことをした人には良いことが,悪いことをした人には悪いことが起こる」という信念です。
https://sites.google.com/site/jsspjishin/home/kaigai-news/pt-bjw
この考えが良い方向に働く事もあります。
「努力した者は報われる」という考えは成果を成した人への賞賛や、評価、時には報奨が与えられる事があるでしょう。それは良き行動を促進し、世の中を良くしようとします。
基本的にこの心理が悪く働くのは、やはり「悪いことをした人には悪いことが起こる」でしょう。
この考えは犯罪被害者を責めたり、震災被害者を責めたりする考えの根源にあります。「犯罪に遭ったのは、被害者の責任だ」と考えてしまうのです。
その人にとって不可避の事態や、最悪と思える事情が重なったとか、普段歩いていない場所を歩いたとか、本来の業務に瑕疵を抱えていた事を確認せずに、対象者が何か間違った事をしたからだ、と安易に言ってしまいます。
津波被害者に、「その時に〜していれば」と、今の時点から分かっている事から、過去の行為*2を責め、生活困窮者に自己努力が足りない、と責めます。
その考えの根幹にあるのが、「公正世界信念」ですね。
ちなみに、下記のツイートは微妙に定義を間違っているようです。
『『公正世界信念』のTweetについて、社会心理学者からの疑問 - Togetter』によれば、「信念が強い人」というよりは「〜である時に公正世界信念の考察が行われる」と考えた方が良いようで。
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「努力すれば報われる」に代表される、世界は正しく動いているはずだという考え方を公正世界信念といい、この信念が強い人ほど、少数者や弱者への否定的な態度を持ちやすい。という話を知ったときは、社会心理学を学ぶ中で一、二を争う衝撃だった
— Tanibe Tetsushiさん (@t_tetsushi) 2012年6月3日
]
関連リンク
『地震と津波:人々は,どのような場合に被災者を責めるようになる? - 東日本大震災を乗り越えるために:社会心理学からの提言と情報』
『『公正世界信念』のTweetについて、社会心理学者からの疑問 - Togetter』
『 Experimental Research on Just-World Theory: Problems, Developments, and Future Challenges.Hafer, Carolyn L.; Bègue, Laurent 』