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何故、意識喪失(ブラックアウト)するまで、呼吸を止められるのか。

昨日、過呼吸の話をしたので。
医学的には、呼吸というのは自律神経によって成り立っているわけなんで、無意識の時にもしています*1
勿論、息ごらえができるのは、その肺の呼吸運動(外呼吸)を意識的に停められるから*2なんですが、自律神経で管理されている呼吸行動を、意識を失うまで抑制できるのは、不思議ですよね。
なので、呼吸反射が起こる仕組みを調べてみたのですが。
東邦大学医学部基礎統合講義−講義録』より。

酸素の受容器(末梢化学受容器)

 O2センサーとして、内頚動脈と外頚動脈の分岐部に頚動脈小体があり、舌咽神経(洞神経側枝)を介して呼吸中枢のある延髄の孤束核に求心性情報を送る。補助的なO2センサーとして、大動脈小体があり、迷走神経を介して孤束核に入力する。

炭酸ガスの受容器(中枢化学受容野)

 末梢化学受容器もCO2センサーとしてある程度機能するが、主要なCO2センサーは延髄の腹側にある。この部位は椎骨ー脳底動脈によって環流される領域である。末梢化学受容器のように明確な境界をもつ構造ではなく、延髄腹外側野に散在性にCO2感受性細胞が分布する。したがって、受容器とは呼ばず、中枢化学受容野(中枢性化学感受領域)と表現される。この部位の細胞外液[H+]を増加しても、換気量が増えるので、CO2とH+の双方に感受性をもつ。

http://www.lab.toho-u.ac.jp/med/physi1/respi/respi10/respi10.html

センサー自体は、化学的機構として、酸素、二酸化炭素、共に受容体があります。
二酸化炭素の濃度が良好でも、酸素の濃度が低下し、危険域に近づいている場合に、この受容体が危険を察知するのでは、と思ってしまいます。


...ところが。
呼吸の生理学』より。

すなわち、呼吸調節はPCO2の変化に非常に鋭敏であるが、PO2の変化に対しては、ある程度分圧が低下するまではほとんど変化しない。

http://sugp.wakasato.jp/Material/Medicine/cai/text/subject02/no2/html/section10.html

...という事らしいです。
要するに、呼吸刺激は、初期の呼吸不全状態*3は、基本的に、二酸化炭素をモニターしているらしい。


...ちなみに、血液*4と体組織*5も、酸素および二酸化炭素を運搬している関係で、それぞれの濃度が動的に変化していて、各数値の変化は単純ではない。
この部分はちょっと複雑すぎるので、医学情報を読んで、説明を諦めました。...ブログで書ける量ではなかったし。
ひとまず、呼吸の刺激の最初の方は、酸素不足ではなく、二酸化炭素の増加を見ているようですね。...なので、過呼吸の結果による、二酸化炭素減少の状態に騙されて、呼吸反射の開始が遅れるようです。


まあ、私自身は医者ではないので、あんまり詳しく説明は出来ない。
本当に詳しく知りたい方は、呼吸生理学系の書籍をあさるか、呼吸生理学に詳しい、例えば、医療関係者*6に聞いてみてください。
ちょっと調べだしたら、かなり複雑な体組織の知識、呼吸生理学の化学式のモデルの理解が必要になって、医者とは何と複雑な体系を覚えているもんだなあ、と感心してしまいました...。

関連リンク
東邦大学医学部基礎統合講義−講義録
呼吸の生理学

自律神経系

*1:体に異常がない場合。

*2:深呼吸や、息ごらえのように脳によって、ある程度変化を起こせる。医学的には「外呼吸」というらしいです。医者ではないので、医療情報を検索した結果ですけど。

*3:呼吸できない状態。

*4:脳が感知しているのは、主に血液中の濃度。

*5:血液とガス交換しています。「内呼吸」と、いうのかな。

*6:忙しい人も多いので、あまり邪魔にならない程度に...。