まあ、タイトルも相当キツイ表現なんだけどさ。
『いじめの加害者の個人情報を垂れ流してる奴は今すぐ両目を繰り抜いて鼓膜を破って口を縫い合わせて東京湾にでも沈みましょう - 今日も得る物なしZ』の話*1。
実はタイトル、ハムラビ法典*2に拠って考察すると、非常に興味深い内容です。
コメントしましたが、
luckdragon2009 2012/07/12 23:37
ハムラビ法典も誤解されているところがありまして。「目には目を」は上限規定です*3。
> ハンムラビ法典のありがちな誤用
> http://www.marchrabbits.com/archives/2006/04/03-222018.phpで、ここに、日本語訳があるのですが、
> http://www.geocities.co.jp/HeartLand-Himawari/5054/baby0730.html
> １、もし人が、人に罪を負わせて殺人行為の責任を彼に負わせたのに、彼に確証しなかった時は、彼に罪を負わせた者は殺される。これは何を意味するかというと、殺人を犯した、と被疑者に嫌疑をかけた際に、告発人が、その嫌疑を立証できないと、告発人は殺される事になります。
今件に照らし合わせて考えると、色々考え深くはないですか？
http://d.hatena.ne.jp/kyoumoe/20120709/1341817613
もし、ネットで実際の加害者を推定し、色々な情報を掲示している人を、ハムラビ法典に従い、告発人と見なしますと、どうなるか。...もし、実態がそれに即さずに、間違った人を掲示したりすると、その人自身が殺されることになります。それを知った上で、告知するのですね？ というのが、ハムラビ法典の趣旨です。
...なかなか、感慨深いでしょ。タイトルどおりの状況に、告発人が陥るということです。
...こういうこと考えたら、被害者の親族以外がみだりに告発人にはならない事情が浮かび上がっても来る。
なお、実際の日本の法体系では、当然ながら捜査権と、刑事告訴の受理権限、判断は捜査機関*4にあります。
いったん、告発状の受理をしてしまうと、捜査開始することが義務付けられているので、その判断は慎重です。
『http://www.bengo4.com/intro/intro21.html』より。
一般的に言って、捜査機関は、いったん「告訴」を受理すると、一定の期間内に処理する必要が生じるなど、かなりの負担を強いられるので、あまり「告訴」を受理したがらない傾向があります。
特に、被害者が持ち込んだ証拠が不十分で、そのままでは犯罪として立件できそうにない場合などには、「告訴」を受理しないことが多いといえます。
また、被害者が、加害者との示談交渉を有利に進めるための一手段として「告訴」をする場合がよくあるのですが、このようなケースでは、加害者が慰謝料を支払って示談が成立した際に、「告訴」も取り下げることが多いので、捜査機関は、せっかくの捜査が無駄になることをおそれて「告訴」を受理したがらないのです。
http://www.bengo4.com/intro/intro21.html
...実際には、今件以外の事例でも、安易に刑事告訴を受理するわけではありません。
実務上の推移としても、被害者が告発を行う場合でも、受理されなかったり、捜査上、うまく捜査が進み、証拠が揃わなかったりした場合のことを考えれば、騒ぎ立てたり*5はせずに、捜査当局や弁護士とのみ連絡しあったりするわけで。
他の誰かに色々話すことはあまりしないのではないかなあ...。
何でかというと、被疑者*6を、疑惑のままに罪状を勝手に決定*7してしまうのも、罪になってしまうので。
そういう意味では、間違った情報を流布していなくても、既に罪が決定したかのような論評を、特定個人(被疑者)にすることは避けた方が良いと思います。場合によっては、告発されかねません*8。
また、真に刑が確定した場合にも、それを執行するのは当然ながら、公的機関な訳で。...私人が勝手に何かを執行する権利などはないし、そういう事を行えば、執行した人が罪に問われますね。
ちなみに、『大飯のJKが無双！（→♂DKでした） - Togetter』で、下記コメントした内容は、今件にも適用されます。
いや、違法行為ってのは、各自が独立して、罪刑形成されますので、相殺されたりはしませんよ。 よって、電気窃盗とかは正当化（無罪化）されませんよ。
http://togetter.com/li/330621
上記は公的施設のコンセントの盗電に、言い訳として相手方の罪過をあげていたのですけど。
いかに関係者に問題あり*9といえども、それを理由に、自分が何らかの罪を成す行為をしてはいけないのは、当然のことなんですけどね。
...まあ、ご本人が捜査・告発されても良い、と考えるのなら、別に止めませんけど。
なお、スマイリーキクチさんの事件の教訓も、忘れて欲しくないですね。
『インターネットで中傷され続けた１０年 スマイリーキクチさん | ふらっと 人権情報ネットワーク』より。
インターネット上で、まったく関係のない殺人事件の犯人として名指され、中傷され、脅迫され続ける。お笑い芸人として活躍するスマイリーキクチさんに突然振りかかってきた”災難”は、振り払っても振り払ってもまとわりついてきた。1999年から10年間、見えない相手と闘い続けてきたスマイリーキクチさんがその経験を語る。
http://www.jinken.ne.jp/flat_now/kurashi/2011/11/25/1335.html
...こういう事態を、引き起こさないことを本当に保障できるのか。...そして、それが起きたときに、責任を負えるのか、という事です。
関連リンク
『いじめの加害者の個人情報を垂れ流してる奴は今すぐ両目を繰り抜いて鼓膜を破って口を縫い合わせて東京湾にでも沈みましょう - 今日も得る物なしZ』
『ハンムラビ法典のありがちな誤用 | "March Rabbit's" Web site』
『ハンムラビ法典』『刑事告訴に関する基礎知識』
『http://www.bengo4.com/intro/intro21.html』
『大飯のJKが無双！（→♂DKでした） - Togetter』
*1:自殺を強要したという嫌疑がかかっている大津の事件の話ですね。
*2:ちなみに、ハムラビ法典は古い法律体系なので、実際に参考になるのは一部に過ぎませんが、今日はこの法体系で考えてみる。
*3:これは対象ブログでも言っているので、ちょっと蛇足なんですが。まあ、過激なコメント群で目がくらんでいる人もいるので、一応書いておいた。
*4:ちなみに警察だけではなくて、労働基準監督署なども、労基法などでは捜査機関になります。
*5:勿論、積極的に記者会見を開いたりする方も居られます。多分、傾向は両極端なのかも。
*6:被害者と違い、加害者は裁判によって罪が立証されるまでは、推定無罪ですし、基本的には加害者というより被疑者ですね。まあ、ここら辺も意識せずに言葉を使っている人も多いようですけど。
*7:裁判に拠らずに
*8:このため、実事件を元に法律論を行うときには、大抵決定している裁判判決を引いて考察します。それは正当なものなので。
*9:そして、現状は報道のみが情報源であり、実際の事実関係は明確に分かっているわけでもないでしょ。
