luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

人が生きるのだって、究極的に言えば、他人には無価値だったりすると思う...。

「なんの役に立つんですか?」の暴力性 - 最果タヒ.blog』のエントリとか、『NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 - 大人の学びを科学する: 役にたつものは必要で、役に立たないものは不必要!?』とか...。
読んで、同意すると共に、この質問の存在感に、ちょっとイラついたので...。

アナウンサーさんは変な研究、と言いたげに苦笑していて、しまいには「なんの役に立つんですか?」という自然科学でもっとも野暮な質問をしてしまっていた。

http://d.hatena.ne.jp/m0612/20100414/p1

私はアナウンサー氏は無邪気に問いかけているけど、何か、こういう問いって、短絡的で好きではない。
何か、今の時点で総てを理解し、分かったつもりになってませんか? って。
蟻にも働かない蟻は、居て。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック』で取り上げた、働かない蟻の話。科学の面白い現象。リンク先にも書いてあるが、ニュートン万有引力の話。アインシュタイン相対性理論*1、その他の色々な研究とか。


元々は基礎研究の話ですけど、企業の商品企画や、新商品、ひいては新入社員の評価にも繋がる話です。
一見役に立つようには見えないものが大化けしてみたり、既に価値をもたらしているのに軽視されていたり、色んな場面で見られますよ。「役に立つ?」の呪いめいた問いかけの弊害が...。
短絡的に、そう問いかけてしまうと、世に出なかった商品たくさんありますし、大成しなかった人間、いっぱいいます。
そうなっていないのは、そういう短絡を抑えて、長い目で見た評価を忘れなかった、「上の人*2」が居たからです。


NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 - 大人の学びを科学する: 役にたつものは必要で、役に立たないものは不必要!?』より。

岡本先生がおっしゃるのは、この「価値観の対象」が、まだ数学や学問に向けられるのならよいのですが(よくはないが・・・)、万が一、論理飛躍して、「人」に向けられるようになってしまうといったいどうなるか、ということです。

http://www.nakahara-lab.net/blog/2010/03/post_1662.html

人に対して考え出したしたら、どうなるんでしょう...。
すごく危険な気もしますし、企業人の中にはこれに近い考えを露骨に出す人も居ます。
でも、「人の役立ち」って、そんなに単純に評価できます? 企業の中でさえ、業績の評価でさえ、まともに機能しているとは思えない*3のに。
評価の仕方を考察するエントリーではないので、細かな論点には踏み込まないが、安易に役立つことを判断すると、足をすくわれるように思う。
盲人に向かって、「目が見えないのに、何の楽しみが。」とか仰ってしまう、無神経な人や、静かに手話で会話する人*4に好奇の目を注ぐ無遠慮な人もいるので、世の中には「自己本位の役立ち」に、一家言ある人は多いとは思う。
...が、あまり短絡的にそれを述べる姿は、私は好きではないな。
下手をすれば、各自の人生や、生きる、という行為自体も、他人から見れば無価値と見られる事だってあるのではないか?
でも、私はそういう価値判断を離れ、「一見無価値に見える人生」でさえ、「各自の判断において価値がある人生*5」と見ておくのが良いと思うのですけどね。

参考文献
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関連リンク
「なんの役に立つんですか?」の暴力性 - 最果タヒ.blog
NAKAHARA-LAB.NET 東京大学 中原淳研究室 - 大人の学びを科学する: 役にたつものは必要で、役に立たないものは不必要!?
蟻にも働かない蟻は、居て。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック

*1:本人の意向?とは別に、原子力、宇宙施設など、かなり大きく役立つ理論になっている。

*2:スポンサー、決裁者、経営者など。

*3:別件ですが、企業の個人業績評価ってかなり変な部分あると思いますよ...。少なくとも、給与が実力と比例しているかというと、かなり違う。

*4:ちなみに、水中活動中の彼らは、「音声伝達困難の制約を受けない」という側面が発現します。

*5:他人の価値のために生きるのが人生とは思わない。その人の価値で生きるのが、その人の人生。