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東京電力の「役員報酬半額」についての、考察 (2011/4/26 版、第一稿)

@rt_luckdragon luckdragon2009(rt用)
郷原さん、何気に厳しい事、言うのね。びっくり。 まあ、コンプライアンス的には、いかがなものか、というのも、分かる。 企業責任という観点で言えば。 まあ、報酬額としてはいくらなのかな。半分でも結構大きいのでは? 昔の経営陣よりは、今の方が貰っているのでは、額的に。

http://twitter.com/#!/rt_luckdragon/status/62512301986693120

への

@nobuogohara 郷原信郎
社会的影響が大きい事業会社の経営者には重大な社会的責任*1があります。その責任が果たせなかったのであれば、報酬をもらう資格はありません。事故発生以降の東電の対応を見る限り、責任を果たしていると言えますか?RT @rt_luckdragon 郷原さん、何気に厳しい事、言うのね。びっくり

http://twitter.com/#!/nobuogohara/status/62515019513995264

の回答を考察。*2

考察・前提条件

『あまりに複雑過ぎる条件の組み合わせがあり、現在も進行中である事から、簡単に結論が出せない問題であり、この考察も「現時点(2011.04.26 時点)では」という保留がついた内容である。
実際、現状で最適な解を出す事は、相当困難と言える。』

考察・基本情報

1. 会社評価(株価)
株価は現在、1/5 との事。> 『twitter / @ffmatrix @nobuogohara @rt_luckdragon ...
52週の最高価格と現在価格2, 3週間前の最低価格を比較すると、約 292/2495(4/26) で、1/8 という評価もできる。→『東京電力 株式会社 (9501.T) (東京証券取引所) 株価


2. 利益相反要素*3
(1)「株主、および会社の利益」と「安全対策への費用投下」*4
(2)「東京電力の利益追求姿勢」と「利用者である国民(独占企業のための公共性)の要求姿勢」

(注意)
東京電力自体は、安全な発電が行えればよいのであって、原子力に拘る理由はない。
(原子力の安全性の強調や、推進については、過去の与党である自民党からの強い要請があった事が記録にある。> http://bit.ly/ehfitO)


3. 福島原発の事故についての補足情報
本件、福島第一原発三号機に関して、平成20年度に、震災による電源喪失の訓練(麻生総理)を行っているが、大規模な津波による周辺環境の激変と、関係人員の喪失までは想定されていない。(想定が甘かったとは言えるが、想定外ではある。) > 『http://bit.ly/fMugtX


4. 役員報酬・概算金額の見積もり
コーポレート・ガバナンス報告書によれば、2010.07.21 時点での取締役の役員報酬は、721,000,000- (役員報酬については、業績連動報酬制度を導入、株式購入義務あり、在任中は保有義務。)である。これの半分とすると、360,000,000-(約3.6億)となる。> 『コーポレート・ガバナンス|株主・投資家のみなさま|東京電力ホールディングス株式会社


5. その他事項
計画停電の対象区画の少なさや、火力発電所の修復、その他作業の情報については、評価できるほど情報は見つけられなかったので割愛した。
なお、計画停電の少なさについては、利用者である東京電力区画の市民の節電の努力が、非常に強く関与している事があげられる*5

現時点での、結論(個人的見解の提案)

概算*6で、半額を言えば、月額 1,000万の約 3.6億になる。1/5 にしても、1.44億です*7。現時点での素直な感想を言えば、これは現状、苦境に陥っている企業の役員報酬じゃあないね*8
取締役と言うのは、その時点での大胆な経営方針の決定のため、制約を少なくするために、その時点での危険性が明確化されていない経営責任については、株主訴訟でも免責されるようになっています*9。そういう責任関係の考察からすれば、現行役員に現状対策以外の責任を課するのは回避したい*10
たが、現状の事態打開という形での責任はあると思う。


...私としては、あまり細かい事情は、私が専門家でもない事もあって結論が出せなかったので、ここでは、私からの提案*11として、私見のみ述べておきたいと思う。
前述のコーポレート・ガバナンス報告書を読むと、下記の記述がある。

業務を執行する取締役の報酬については,業績連動報酬制度を導入しており,年度業績を月例報酬及び賞与金の一部に反映させることとしている。具体的な支給額については,客観性・透明性を確保する観点から,社外取締役及び社外有識者を中心とする報酬委員会の審議を経たうえで,取締役会において決定することとしている。

http://www.tepco.co.jp/ir/management/pdf/jyokyocg-j.pdf

...あと情報の公開性についても、公開を促進する旨の記載が、各所にある。


で、どう考えても、業績が半額になるとも思えなかった*12し、会社の存続危機に関しての、自己報酬に対する真摯な態度とも思えなかったのね。あと、情報公開についても、計画停電や、電源供給見込みの情報掲示*13、その他についても、あまり的確な行動か、というとそうでもないように思える。
勿論、いろいろな要因が重なっての事ではあるし、現経営陣のみに責任が帰せられる事態でもない。
しかし、少なくとも、現在経営を担っている責任はある訳で、そこのところのみ、つまり、原子力推進とか、そういう方針は一切考えずに、運営の責任のみ考察して、提案をここに書こうと思う。


まず、報酬に関する私の提案。
A. 役員報酬、基本案

報酬に関しては、下記の取組みが完了するまでは、『月額100万程度の生活的給与程度*14』にしたら、いかがか?


現在、東京電力と言うのは、この分野についていえば、ほぼ独占企業と言える。
勿論、ガス燃料を購入して、自家発電*15したり、太陽光発電*16を設置したり、対抗策を講じることは可能だが、現行法規の中で、それを行うのは困難であるし、現行法規もそれにマッチするものにはなっていない。また、資金的に、それを簡単に行える状況にはない。
とするのであるなら、『B. 提案詳細』の提案内容を営業活動として考察してもらえないだろうか、そして、それを達成した暁に『C. 提案の結び』の内容として、正当な役員報酬を得る、というのはどうだろう、と考えた。

B. 提案詳細 ...「期待する取組み」について
(1) まず、現状の日本社会を夏季、冬季を通じ、まずは現状維持の形で、最低限、節電しつつ、維持できる体制を整備して欲しい。

現状、社会弱者が、各所、各場面で我慢したり、夏季には、場合によっては、熱中症で死亡する事が懸念されている。これを全力で阻止して欲しい。

(2) 電力供給について、また、自社情報について、情報公開を進めてほしい。

燃料確保や、各部材の購入については、企業体が巨大な事もあり、戦略的に秘密にしなければならない事も多いだろう。そういう意味での、秘密主義や、原子炉の技術的守秘事項に伴う、情報公開の遅れは、ある程度は理解できる。
しかし、現状、事故被害を解消し、対策している訳です。
その状態で、意図的とも思えるほどの情報秘匿*17は、ちょっと頂けない。
必要な項目については、オブサーバーや、監査機関と守秘契約を結んでの行動でも良いから、御社を自己評価するための最低限の情報公開と、利用者*18のための偏りない情報公開を行ってほしい。
特に、状況に関して、監査を行う団体の存在は、必須と言っても良い。*19
企業戦略に関する考察は考慮したいが、何らかの形で、明確な情報公開ないし、状況の第三者機関の監査*20をして欲しい。

(3) 安全管理について、リスクとベネフィットを明記した、安全管理指針を明確化し、それに必ず従う、安全対策態勢を確立して欲しい。

私は、いわゆる原発拒否論者ではない。無論、原発推進派でもなく、常にどっちが危険かどうかを考察しつつ動く、懐疑的論理主義を基本とする。
核燃料の利用施設や、発電施設については、今、あまり報道されていないが、思想的感情から、あまりにプロパガンダに傾き過ぎて、一般の市民が賛同できない形で、反対運動が勧められた結果、結局、何も実を結ばず、結局、安全についての状況改善がなされないで終わっていると言う、現実もある。
今の状況では、どっちの方針をとったら、よりリスクが少ないのか、多いのか、ベネフィットが多いのか、少ないのか、分からないままに、方針が決められているようだ。株主総会等での情報掲示はあると思うが、実際の利用者にまで降りてきているとは言えないのではないか。
今は、どうやら、ガス発電炉の形での、方策検討がされている気もする*21
しかし、例えば、パイプラインであれば、海洋汚染や、それへのテロや、停止リスクがある。総てに、オールクリアな方策などはない。
よって、どんな行動方針をするにしても、それぞれの内容に関する、リスクとベネフィットを明記し、御社の行動が、利用者にとって支持できるように、情報公開しての説明責任を果たして欲しい。
それが社会的影響が大きい事業会社としての、CSR活動を考察した行動ではないかと思う。

(4) 独占状態に対して、社会的に発言可能なように、一般顧客にもスマートグリッド電力網が構築できる下地を保障して欲しい。

現在、太陽光発電等、いろいろな発電方法はあるが、基本的に、東京電力に対抗できないように、有形無形の法的制約が課せられている。
東京電力が狙ったものではないかもしれないが、結果的には、同じ効果となっているし、それを見越しての、電力会社社員の行動も散見されるようだ。
これに対しては、積極的な助力はしなくて良いと思うが、少なくとも対抗策を構築する邪魔だけはしないように、また、法規の制約を自ら取り除くような社会的な姿勢を率先して示すような、健全な企業行動を行ってほしい。
今のままでは、自らの独占状態を保持するための、政治的な行動と勘繰られても仕方ない状況のように思える。
よって、顧客との力関係のバランスをとる上で、スマートグリッド電力網の育成を制限しない行動を明記し、実際にそういう行動を明確にとって欲しい。


C. 提案の結び。 成果達成後、役員報酬について。

上記の現状打開の内容、および今後の会社継続、経営安定への基本基盤が確立した時に、報酬半額でも、報酬全額でも良いので、通常の役員報酬としての内容に戻すのが良いと思うのだが。いかがだろうか?
もちろん、現行役員の任期期間の成果を評価し、該当役員の再任*22を行って、という事だが。

*1:フルセット・コンプライアンスについては、以下を参照の事。→『自動車産業とコンプライアンス』『http://www.nikkeibp.co.jp/sj/2/special/176/index3.html#

*2:RT カウンタ凄く多かった(苦笑)。

*3:郷原さん自身は東電の株を保有している事を、twitter上で、公表しているが、今件については利益相反の考察に入れなくても良いと思うので、ここには上げていない。

*4:利幅の追及が、安全対策への費用投入や、行動評価にバイアスをかける。原子炉への海水注入の躊躇が典型と思う。

*5:消費電力のグラフを毎日見ている人間から言わせてもらうと、こういう努力への感謝の言は、現経営陣からあまり聞こえてこないように思うが、それで良いのか?

*6:あんまり細かい数字に拘る話ではなく、ざっくり話す内容だと思うので、不正確性は承知してください。

*7:1/8 で、9,000万円、月額750万円。

*8:1/8 で、若干実感に近くなってくるが、まだ非常に高給取りのイメージ。

*9:参考→『第4回「取締役の責任」に関する制度の整合性図る | 日経 xTECH(クロステック)

*10:特に、こういった事故に対する責任追及は、JR西日本列車事故や、明石陸橋での警備責任等で顕著に表れたように、後認知バイアスによる、結果評価への責任追及バイアスが強く表れやすく、少なくとも、現状の報道姿勢を見る限り、現状の東京電力の経営責任についても、同様の傾向が強く表れているように思う。

*11:別に、東京電力としては、一個人の見解など意に介さないとは思うし、実際には株主総会で最終決裁される事で、さすがに、その内容に関与はできないが。

*12:多分、かなり下がるであろうし、業績の確保を電気料金の上昇などでまかなえば、利用者の反発は必至だと思う。そこらへんのところは、利益相反要素 2.(2) へのバランス感覚が多分に試されるのではないか?

*13:例えば、どうやら土日は、3500万KW らしいが、どうしてそうなるかは、理由のプレスリリースを見つける事ができなかった。また、夏季の供給見込みについても、どうも公開情報は進んでいるとは言い難いと思う。もし、違うのであれば、明確にプレスリリースを掲示して欲しい。

*14:これは、ある程度の生活程度は保持する、という意味もある。さすがに無報酬までにはしなくて良いと思う。異論はあるだろうが。

*15:森ビルとかがやってますね。ビル管理系。『森ビル、「六本木ヒルズ」発電電力を東電に供給 :日本経済新聞

*16:これは一般家庭でもできるが、安価ではない。

*17:これは時によっては、株主代表訴訟を意識していないか? 恐れは十分に分からなくもないが、それが情報伝達に大きく障害となっているのであれば、何らかの考慮も必要では。少なくとも、情報が必要な層への公開は即時行うとか、何らかの施策が必要であろう。

*18:現在は独占状態であるから、必然的に国民全体になる。

*19:近年の将来、震災の可能性があるのであれば、なおさら、である。

*20:社外取締役の重用とか、方法はいろいろあると思う。場合によっては、国の介入もあり得るのではなかろうか。

*21:情報公開がされていないので、「気がする」だけだし、今度の情勢次第でいかようにも変わるだろうと思う。ここに報道はあったが。→『<視点>東電の代替発電はLNGに、パイプライン検討も(2)/ 株式NEWS /モーニングスター

*22:役員の任期規定によっては、任期満了に伴う退任等もあると思うので、その時の報酬計算、および保持株式の売却金額については、考察が必要だが。