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医療ネグレクトにまつわる、親権についての課題

先日の 信仰療法って何? 未翻訳英語ノンフィクション読解カフェ - TwiPla で出てきた、医療ネグレクトでの法律面での施策について記載しておきます。ちなみに、医療ネグレクトではないのですが、カルトによる虐待については私も カルトと宗教と、親と、そして虐待。 - Togetter というまとめを作っています。
先日のコウノドリにも、みたらチラリと記載があったのですが、児童養護施設の子供への対処が大変なのには、その状態であっても実親が親権を実は手放していない、という問題があったりするのですね。
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/75861.html より。

実は、児童福祉法などの法律は、子どもを保護することは定めていても、親権を制限するという規定を置いていません。つまり、親からひどい虐待を受けて子どもが施設などに保護されても、親はなお親権を持ち続けるという構造になっているのです。

http://www.nhk.or.jp/kaisetsu-blog/400/75861.html

その結果、多様な問題が生まれてきます。子供の権利についての決定が出来ない。子供の医療行為について、親の思想による行為妨害が、親権を盾に起こされてしまう。


これに対応するのは、親権喪失宣告、保全処分(親権者の職務執行停止、職務代行者選任)、職務代行者の医療行為への同意、という事になります。知っておきたい法律知識 民法(親権規定)の改正について より。

児童相談所長が親権喪失宣告の申立てを行うとともに保全処分として親権者の職務執行停止・職務代行者選任の申立てをし、職務代行者の同意により治療を受けさせた後、(実際には親権喪失までは必要がないケースが多く)申立てを取り下げるなどの方法で対応している(最近の例として津家裁平成20年1月25日審判 家裁月報62巻8号83頁。その解説として民商法雑誌144巻2号313頁)。

この方法に関しては何らの手当(法改正)もなされていないが、親権停止制度が新設されたことで、今後は、親権喪失よりも親権停止審判を申立てたうえで、上記保全処分の申立てを行うことになろう。

http://www.wakaben.or.jp/systemintro/08_nakagawa.html

なお、緊急の場合に家庭裁判所の裁可を待てない場合などがあるのではないか、という質問があったので、緊急な状況の段階に応じての資料へのリンクを記載しておきます。流れ図で示したもので、医療ネグレクトにより児童の生命・身体に重大な影響がある場合の対応の流れ がそうです。
また、実際にどんな申し立てがなされるかは、実際にあった事例に対しての判例を紹介します。親権者の職務執行停止・職務代 行者選任(審判前の保全処分)申立事件 | 家裁判例データベース がそうです。
なお、これまでにどんな事例があったか、については 判例 子どもの虐待・親権・管理権 に、判例を示しておきます。
なお、資料 知っておきたい法律知識 民法(親権規定)の改正について にあるように実際には親権に関する措置を行わなくても、現行法では施設長などが親の意に反して医療行為を行う事は可能です。
児童福祉法 47条5項が根拠条文です。

児童福祉法 47条5項

5  第三項*1の規定による措置は、児童等の生命又は身体の安全を確保するため緊急の必要があると認めるときは、その親権を行う者又は未成年後見人の意に反しても、これをとることができる。この場合において、児童福祉施設の長、小規模住居型児童養育事業を行う者又は里親は、速やかに、そのとつた措置について、当該児童等に係る通所給付決定若しくは入所給付決定、第二十一条の六若しくは第二十七条第一項第三号の措置又は保育の実施等を行つた都道府県又は市町村の長に報告しなければならない。

http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S22/S22HO164.html

*1:第三項の条文は「児童福祉施設の長、その住居において養育を行う第六条の三第八項に規定する厚生労働省令で定める者又は里親は、入所中又は受託中の児童等で親権を行う者又は未成年後見人のあるものについても、監護、教育及び懲戒に関し、その児童等の福祉のため必要な措置をとることができる。 」です。