luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

生活保護叩きに関して。

きっと、生活保護の不正受給や、生活保護を叩きたい人は、自分の生活もきっと苦しいのではないか。
...そうでもなく、生活にまったくの不安がない人もいるだろうけど、そんな人が自己のセーフティネットを破壊するのは自業自得だと思うので、そんな奴は放っておくことにする。


...で、生活保護の不正受給は余りに小さく問題にするにはバランス悪く、生活保護の把握率の悪さを気にした方が良いよ、というのは既に書いた*1ので、さらに生活保護自体の辛さと、それを食い物にする貧困ビジネス*2について書いておくことにする。
これを知れば、そもそも生活保護という事態が非常事態であり、そんな存在を羨んだり、攻撃しても意味がないこと、また、彼ら自体搾取の対象になっている事、が分かると思う。
それが分かっても、攻撃をやめない人はいるだろうが、少なくとも現実を知る糧にはなると思うので、掲載しておこうと思う。
まずは、受給者の実態と、受給者が何故、生活保護から脱出困難かについて。
lunaticprophet.org - このウェブサイトは販売用です! -  リソースおよび情報』より。

「働けない人」の占める割合については、上述した記事にある厚生省の発表(福祉行政報告例(平成23年11月分概数)|厚生労働省)を読むとある程度把握できる。
 これによると、昨年11月に保護を受けた類型別世帯数は、 高齢者世帯=637,584、母子世帯=114,909、障害者世帯=170,948、傷病者世帯=321,905、その他の世帯=256,218となっている。このうち、高齢者・障害者・傷病者は「働けない」と推定されるので、割合を算出すると(637584+170948+321905)/1507940×100=約75.0%。4分の3が働けない世帯と推定される。

http://lunaticprophet.org/archives/6047

ちなみに、働ける世帯については母子家庭が多く、制約も多い。
しかし、それ以外の多くは「働けない世帯」であり、高齢者・障害者・傷病者は、職業差別も多く、就職も困難である。...つまり、生活保護からの脱出自体が非常に困難だと推測される。
以前、私が書いた「...もしくは、病気で寝てるよ*3。」というのも、故なき発言ではなかった、ということが理解可能かと思う。
ついでに不正受給と、把握率について念のため補足しておくと、『lunaticprophet.org - このウェブサイトは販売用です! -  リソースおよび情報』より下記の事を知ることが出来る。

生活保護費や生活保護予算の「総額」と、不正受給額がそこで占める「割合」です。朝日新聞の記事によれば、2010年度の生活保護費総額が3兆3300億円。手元にあるiPhoneの計算機で、割合を計算してみましょう。129÷33300×100=0.38738739。約0.4%となりました。

生活保護基準以下の世帯のうち、実際に生活保護を受給している世帯数の割合を示す生活保護捕捉率という概念がありますが、2010年4月9日に厚生労働省が発表した「生活保護基準未満の低所得世帯数の推計について*4」によると、この捕捉率にあたる「低所得世帯数に対する被保護世帯数の割合(保護世帯比)」は32.1%。生活保護は申請による開始を原則としていることから、この数値は捕捉率を表すものではないとされていますが、それにしても低いですね。ちなみに学者の推計ではさらに低く、橘木俊昭・浦川邦夫『日本の貧困研究』(2006年)では19.7%とされています。

http://lunaticprophet.org/archives/13044


さて、既に働けない世帯である事が示されている訳だが、働こうとした際にはどういう障害が、その人々にのしかかるか。
これには、まず生活保護がどんな状態にあるのか、を知ることが必要かと思う。
http://synodos.livedoor.biz/archives/1920714.html』より。

1か月を単位に計算した最低生活費が給付されます。最低生活費は、基本的に1か月で使い切りです。許されているのは、保護開始時に手持ち金として、最低生活費(医療費や介護費は除く)の半額のみです。

これは「家計上の繰越金程度のもの」といわれますが、他には何もなくて、お財布に入っているお金として許される限界が最低生活費の半額なのです。急なまとまった出費にはもちろん対応できませんので、必要になるたびにケースワーカーに相談することになっています。家計のやり繰りなど工夫が許されない仕組みとみることもできるでしょうか。

http://synodos.livedoor.biz/archives/1920714.html

...こういう状態で、どうやって就職活動をするのか。
就職活動にはある程度のまとまったお金が必要になることがある。例えば交通費や、服飾費などである。証明写真を撮ったり、場合によっては就職活動に必要な学習が必要となることもあるだろう。
しかし、そのためのお金が用意できる当ては、乏しい。
生活保護者に、たんす預金の存在を指摘する人もいるが、この状態でのたんす預金*5は、一般に思われているたんす預金より額が小さく、性質も異なると予想されるのではないか。
そして、この状態での資金運用は、かなり困難なことが予想される。
この前提で、『元受給者の妻が語る生活保護から抜け出せない5つの理由 - Togetter』を読んでもらえば、そこに書かれていることが、おぼろげながらでも理解できるようになると思う。

俺も思っていたけれど、働く意思があるのに働かないのは怠けているからだってのは、金を持っているからこそ言えることなのだろうな。
Pnagashi

http://togetter.com/li/313161

とても示唆的な言葉だ。まったくお金なく就職活動が可能だと思うなら、自分で実行してみれば良い。本当にまったくお金を消費せずに就職活動、って可能ですか? ...勿論、ネットも利用しては駄目*6ですよ。


さて、困難な生活保護層にとって、今一番必要なものを示唆し、未だ明確に警告されていない、貧困ビジネスについて紹介して、今日の記事を閉めたいと思う。
今後の生活保護層への支援には、自立への指導が欠かせない。
その意味では、ケースワーカーの拡充が急務と思われる。瑣末な不正受給の議論をやめ、そういう方面への人員拡充を目指して欲しい。
http://synodos.livedoor.biz/archives/1933029.html』なども参考になるように思う。
また、『生活保護制度の現状等について』などを見ると、現在の生活保護の問題点として、下記が挙げられている。

(1) 経済的な給付のみでは被保護者の抱える様々な問題への対応に限界
(2) 保護の長期化を防ぐための取組が不十分
(3) 担当職員個人の経験等に依存する実施体制にも限界

http://www.mhlw.go.jp/shingi/2008/11/dl/s1104-3b.pdf

生活保護にまで困窮する事態となる、各人の心理状態を考察するに、当事者にはトラウマや、スティグマ*7が発生していることは容易に考えられる。
そういった当事者を強制・強要すると、犯罪に走ったり、逃避して巧みに貧困ビジネスに取り込まれ、さらなる困窮に至ることも懸念される。
貧困ビジネスは、最後に取り上げるので、犯罪に至るシングルマザーに関しては、下記書籍などが参考になるように思う。

[]


なお、扶養を強制すると、貧困の連鎖が起きるよ、という話も出ていたので、『生活保護の扶養義務を強化したら庶民が貧困層に転落する! - Togetter』なども参考にして欲しい。
これをさらに考察すると、『http://ameblo.jp/moonsun3/entry-11267825191.html』のような内容にも想いが至ると思う。「富裕層の固定化を促進する」という事です。
税金で富の再分配を行い、各人が特定の階層に固定化することなく、自己実現にまい進していた筈が、変な言動に惑わされることによって、固定した立場に絡め取られてしまう、という事になります。
...それを特定の国会議員などが行った、という事実は非常に罪深いものである、と私は思います。


さて、最後に何故かあまり触れられない、貧困ビジネスについて書いておきたい。
この件、生活保護受給者自体が直面する問題であり、また生活困窮者に対しての現実的な脅威だと思われるので、参考の記事を紹介しておく。
下記に紹介した記事を読み、調べてみてください。反社会組織が関わる、社会の闇の部分だ。

貧困ビジネスとは何か? 低所得者を喰う者たち(前編) (1/3) - ITmedia ビジネスオンライン
貧困ビジネスとは何か? 低所得者を喰う者たち(後編) (1/3) - ITmedia ビジネスオンライン
生活保護費増加の陰で貧困ビジネス拡大 WEDGE Infinity(ウェッジ)

関連リンク
人を分かったつもりで、語ることなかれ。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック

lunaticprophet.org - このウェブサイトは販売用です! -  リソースおよび情報
lunaticprophet.org - このウェブサイトは販売用です! -  リソースおよび情報
http://synodos.livedoor.biz/archives/1920714.html
元受給者の妻が語る生活保護から抜け出せない5つの理由 - Togetter
http://synodos.livedoor.biz/archives/1933029.html
生活保護制度の現状等について

http://www.socius.jp/lec/20.html

生活保護の扶養義務を強化したら庶民が貧困層に転落する! - Togetter
http://ameblo.jp/moonsun3/entry-11267825191.html

貧困ビジネスとは何か? 低所得者を喰う者たち(前編) (1/3) - ITmedia ビジネスオンライン
貧困ビジネスとは何か? 低所得者を喰う者たち(後編) (1/3) - ITmedia ビジネスオンライン
生活保護費増加の陰で貧困ビジネス拡大 WEDGE Infinity(ウェッジ)

*1:人を分かったつもりで、語ることなかれ。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック』あたりで。

*2:これこそが反社会組織の資金源であり、真に忌むべきもの。

*3:前述記事内の発言

*4:生活保護基準未満の低所得世帯数の推計について

*5:多分、これこそが不正受給の実態。つまり、緊急的退避にかなり近い。

*6:なお、最近の生活保護の基準には、ネットは用意されるようです。ただ、これはケースワーカーとの交渉によるもの、という事ですね。

*7:参考『http://www.socius.jp/lec/20.html