luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

タヒリール広場に、ミニ市街が出現した訳は?

404 Blog Not Found:瞬縁社会の勃興』より。

今回カイロで起きた事は、まさにこれではないか。ここで市民は Leecher かつ Seeder となり、ソーシャルネットワークが Tracker となったというわけだ。Tracker が track しているのは、「だれがどこにいる」かだけ。実際の資源配分は、市民どおしが直接行う。

「平均以上」のノウハウをもった人たちは当然いただろうけど、「フィクサー」であることを自他ともに認めるレベルの人はどこを探してもいない。タハリール広場にいた人々は、「自分の持ち場を守っていた」だけではないのか。
だからこそ、独裁者にはどうすることも出来なかったのだ。
拘禁すべきフィクサーもオーガナイザーも不在なのだから。 Seederの一つや二つ落としたところで Torrent が墜ちないように。

ソーシャルネットワークが縁を結ぶコストを劇的に下げてしまった。運動に必要な社会は、運動しながら作れるという状況が現実になったのだ。戦闘がはじまってから兵站を確保するという芸当が本当に成立するようになってしまったのだ。

http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51632626.html

http://www.bbc.co.uk/news/special/middle_east/protest_camp/img/tahrir_sq_protest_976.jpg
写真は『BBC News - Egypt: The camp that toppled a president』より。


...確かに、今回は核となるリーダーは明確に見えなかった。故に、組織の頭を潰す、というクリティカル・ターゲットが狙えずに組織を壊滅、解散させることができなかった、という事は言えるのかもしれない。
元々、インターネット自身がネットワークの障害に対して、生き残る部分が、常にネットワーク自身の維持に回る仕組みを持ち、現在の通信アプリも、それを利用した仕組みを持つ。
ネットワークを外れても、人間が同じような社会的繋がりを持ち続ければ、通信回線ではなく、会話と伝言メモで同じことが可能だろう。
...まあ、それが研究できるほど、今回の状況への取材情報は持っていないのだが。
私としては、今回の件、独裁者と集団の知恵が対決する図式で、一番私がずっと頭の隅っこにあったのは、集団の知恵が時に専門家の回答より優秀となる事象を分析していた、下記の書籍の内容だった。『[「みんなの意見」は案外正しい]』である。
今回の組織の思考過程、デモ集団の行動過程に関しては、まだまだ材料不足のところもあるので、結論は出さず、今後も取り上げていくつもりである。
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