luckdragon2009 - 日々のスケッチブック(Archives)

luckdragon2009 - 日々のスケッチブック [過去記事]

過去の期待に、熟慮を以って答えると言う事

さて、『ちょっと過去を振り返ってみよう。1978年、訒小平氏の話。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック』で書いた問いに答えるとしようか。


タイトルにも記したが、実は単純な事だ。「短絡しない。じっくり熟考する。」という事だ。短気は損気とも言われるが、考える際に、必須の項目に関して考察をしないのは、失敗の源である。
...間違えそうだったら、保留にする。
緊急に行動しなければならない事、決定しなければならない事、それは実はさほど多くない。拙速に決定し、行動し、結果を誤るのであれば、実は行動しない方が良い、というのは、良くある事だ。
実際、どうなるか分からないような時には、「ロジックツリー」を書いてみるとか、必須な項目を書き出し、考察する。緊急にどうしても決めなければならない項目は、そこで、何らかの決定をする。
しかし、項目の多くや、重要な項目が未解析、未分析、未解決、そういう状態であり、かつ、「決定しない事」が、「決定する事」よりも損害を少なくするのであれば、「決定しない事」も、重要な選択となりえる。


時には、「保留にする」という決定、または「現時点では、分からない事を認める」それが大切ではないかと思う。
それは、まさに「棚上げ」にする、と言える勇気を持つことでもある。*1


ところで、件の衝突映像の流出を、美化し、件の海上保安官を英雄視する向きがあるが、私は、あの行動は短絡であり、本人が公開を悔いているかは不明だが、職務としても不適当だし、故に、英雄視してもいけない、と思う。
以下に、考察を記しておく。

事態への考察
「映像を公開しない」→「事態の沈静化にマイナスとなる」という外交上の考察もあると思う。


捜査資料としての考察
「刑事事件の証拠物件*2」は、裁判公判前に公開しないのが原則であり、不起訴処分となっても、被害者にさえ、閲覧が許可されないのが、実務でも通常なようだ。*3


そもそもの、日中漁業協定の運用相違
孫崎さんからの指摘*4もあったのだが、元々、違法行為の指摘は、自国に対して取り締まる、というのが行動指針である。「領海等における外国船舶の航行に関する法律」における無害航行ではなく、海上保安庁の巡視船に対しての公務執行妨害との事だが、回避不可能だったにせよ、衝突行為に関し、中国側に引き渡し、中国側に裁可をさせるのが本来の運用だった。
とすると、元々の行動が誤りなのだ。海上保安庁にも、主張はあると思うし、政府指示があったのかは、私には不明なので、そういう内容への考慮は必要かと思うが、私は、一番最初の、その運用が一番の発端なのではないか、と考えている。


なお、彼を英雄視する事の危険性は『http://d.hatena.ne.jp/sionsuzukaze/20101112/1289563575』あたりをご覧ください。
なお、人を英雄視したり、政治や軍がいろいろな暴走を生んだり、悲劇を生んだりするのは、一番下にリンクを貼った作品を読むと、非常に痛切に感じられる*5

参考リンク
尖閣問題のDVD流出: 夜明け前の独り言 弁護士 水口洋介
尖閣映像の公開は公益通報者保護法の範囲外(公益通報38) ( 事件 ) - 弁護士阪口徳雄の自由発言 - Yahoo!ブログ
http://d.hatena.ne.jp/sionsuzukaze/20101112/1289563575
http://blog.zaq.ne.jp/blueocean/article/731/
http://blog.zaq.ne.jp/blueocean/article/738/

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*1:もちろん、解決できる方法があるのであれば、提案すればよい。ただし、私は現時点での解決は、非常に難しいと思っている。

*2:編集されたものなので、謄本ではなく抄本だが。

*3:秘密防護と情報共有慣行 - ハスカップジュニアの備忘録』にコメントあり。

*4:孫崎さん、尖閣分析 - さて、思惑に踊らされたのは、誰かな。 - luckdragon2009 - 日々のスケッチブック』等を参照のこと。google でも容易に見つかるが。

*5:軍が主体となる国家が、どのようになっていくかを含め。